前科があっても日本に入国できる?

入管法と裁判例から考える外国人の入国

「1年以上の拘禁刑等を受けた外国人は、もう二度と日本に入国できないのでしょうか?」

インターネットでこの質問を調べると、「永久に入国できない」という意見がまずヒットするのではないでしょうか。
心配になって最近はやりのAIに聞いてみると「刑が消滅すれば入国できる」という意見が返ってきたりします。

相反する意見が出ると、どちらが正しいのか不安になってしまいますよね。
そして、もし本当に永久に入国できないのだとしたら、それはあまりにも酷ではないでしょうか。

今回は、入管法と実際の裁判例を基に、この問題について行政書士の視点から解説します。


入管法5条1項4号の厳しい規定

入管法5条が定める「上陸拒否事由」では、1項4号において次のように定められています。

日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の拘禁刑又はこれに相当する刑に処せられたことのある者

この条文は「過去に刑を受けたという事実」を基準に、入国審査で原則として上陸を認めない(上陸拒否事由)としています。
ポイントは「刑に処せられた者かどうか」ではなく、「刑に処せられたことのある者かどうか」で判断するということです。
刑法にある「刑の消滅は、後者の判断を左右しないというのが裁判例です。


裁判例が示した「歴史的事実」の重み

この解釈を裏付ける重要な裁判例があります。平成25年(行ウ)第235号判決です。

これは、入国審査に関する民事裁判の中で、外国人が、
   執行猶予期間経過により刑の言渡しは効力を失っていること
   (自分は刑に処せられた者ではない
を主張した事案でしたが、裁判所は「刑に処せられたという歴史的事実が上陸拒否事由になる」という厳しい判断を下しました。

この判決は、入管法5条1項4号において、刑法上の「刑の消滅は考慮されず、過去の前科そのものが評価されることを明確に示しました。
そして、この判決は控訴審においても、覆されることはありませんでした。

ここから分かることは、たとえ裁判後に相当年数が経っていたとしても、その判決があったという事実が入国拒否の根拠となりうる、ということです。


絶望しなくていい理由:制度上の救済措置

この判決のこの部分だけを見ると、「もう絶対に日本に入国できない…」と絶望的に感じるかもしれません。
しかし、入国が「絶対に不可能」というわけではありません。
入管法には、この厳しいルールを補うための例外規定が設けられています。

上陸拒否の特例(入管法5条の2)
 上陸拒否事由に該当する外国人でも、再入国の許可を与えた場合等で相当と認めるときは、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる、とされています。
 つまり個々の事情によっては例外的に入国の許可がなされる可能性があります。

 ただし、無期限の上陸拒否事由であることに違いはなく、一旦出国すると再入国が困難となるため、出国については慎重に考える必要があります。

難しい問題こそ専門家にご相談ください

入管法は非常に複雑で、上記は、たったひとつの言葉の解釈で結論が大きく異なることが分かる事案でした。
インターネット上には様々な情報が溢れていますが、ご自身のケースに当てはまるかどうかの判断はAIにも難しいようです。

「少し調べて諦めてしまった…」
「もう自分ではどうしようもない…」

在留資格の申請や入国に関する問題で、もし今、お困りでしたら、まずは一度ご相談ください。
「こんなこと相談してもいいのかな?」と思うようなことでも構いません。
行政書士に相談していただくことで、思いもよらなかった解決の糸口が見つかるかもしれません。

あなたの未来のために、一緒に最善の道を探しましょう。