「業務独占」と「名称独占」の違いとは? ― 行政書士は?、家政士は? ―

「業務独占」と「名称独占」

資格の話になるとよく出てくる「独占業務」という言葉。

なんとなく「その人しかできない仕事」というイメージがありますでしょうか?
法律上の独占には、
   「業務独占」と「名称独占」
の2種類があります。

1.「業務独占」と「名称独占」の違い

まずは基本の整理です。

区分:業務独占資格:その資格がなければ、一定の業務を行うことが制限される(代表例:医師、弁護士、行政書士など)

区分:名称独占資格:業務自体は可能だが、その名称を名乗ってはならない(代表例:中小企業診断士、栄養士など)

簡潔に言えば、
   業務独占=行為そのものの制限
   名称独占=肩書きの制限
です。

2.行政書士の「業務独占」

行政書士は、法律に基づく業務独占資格です。
行政書士法では、
   官公署に提出する書類の作成、権利義務に関する書類の作成
などが独占業務として位置付けられています。

無資格者がこれらの業務を行えば、行政書士法違反となる可能性があります。
さらに、無資格者が「行政書士」と名乗ることも法律で禁止されています。

つまり行政書士は、業務独占名称独占の両方をあわせ持つ資格です。

3.司法書士

司法書士は、不動産登記・商業登記に関する登記申請書類の作成等を行う専門資格です。
登記申請の「代理」は司法書士の独占業務です。

たとえば、
   不動産の所有権移転登記
などがありますが、この場合、行政書士は業として登記申請の代理を行うことはできません。
無償と言われても行政書士に登記申請を依頼してしまわないよう気を付けましょう。

4.名称独占資格の代表例

名称独占型の資格としては、
   中小企業診断士
   栄養士
などがあります。
これらは、
   業務そのものは禁止されていない
ただし、
   その名称を名乗ることは法律で制限されている
という構造です。

5.「家政士」は?

家政士は、一般的に言われる法律上の名称独占資格ではありません
家政婦等による家政業務自体は資格がなくても行うことが可能であり業務独占ではありません

法律で刑罰付きの名称独占規定があるわけではありませんが、
   家政士
の名称は
   厚生労働省認定の公的資格で、検定試験合格者の称号であり
   公益社団法人日本看護家政紹介事業協会の登録商標(商標登録第5750910号)
でもあります。

そのため、業として無断で使用した場合には、
   商標法上の問題
が生じる可能性や、国が認めた資格があると消費者に勘違いさせることで、
   不正競争防止法違反の問題
が生じる可能性があります。
法律上の名称独占資格としてではなく、団体により管理されている称号制度として保護されているものです。

6.まとめ

最後に整理すると、
   業務独占 → その業務を行うことが制限される
   名称独占 → その名称を名乗ることが制限される

行政書士や司法書士は、「業務独占 + 名称独占」
家政士は、商標登録等によって保護された「実質的な名称独占」と考えられます。

資格制度は、専門性の担保と利用者保護のための仕組みです。
それぞれの業務や名称を尊重することが大切です。

独占業務に限らずに、何でもご相談ください。
生活の悩みも久所行政書士まで。